イスラム系78人窒息死/タイ南部

イスラム系78人窒息死 タイ政権に逆風 「人権軽視」内外から非難
【バンコク=岩田智雄】タイ南部で治安部隊に拘束されたイスラム系住民ら七十八人がトラック内で窒息死していた事件で、タクシン同国政権の人権軽視に対する非難が、国内のみならず米国や周辺諸国からも一斉に噴き出している。タイ外務省は二十八日、バンコク駐在の各国外交官を集め釈明に追われた。東南アジア諸国連合(ASEAN)の新しい指導者を目指すタクシン首相にとって、人権問題はその障害になりかねない。
今回の大量死亡事件は二十五日、南部ナラティワート県で発生した。
イスラム系住民ら約三千人が、拘束された地元男性六人の釈放を求めて抗議デモを行い、治安部隊と衝突。約千三百人が拘束され、複数の軍用トラックに収容されたものの後ろ手に縛られて詰め込まれたため、七十八人が窒息死したという。
これを受け、南部の反政府武装組織パッタニ統一解放機構(PULO)はホームページ上で報復としてバンコクで自爆テロを行うと警告した。
米国務省は事件について、「拘束された者は人道的に扱う責任がある」と指摘し、「こうした死亡事件が起きた環境は十分に調査されるべきだ」と真相究明を求めた。
周辺諸国からも、「悲惨な人命の損失」(シンガポール)、「南部での暴動を終結させるよう求める」(マレーシア)との声が上がり、マレーシアと同じイスラム教国インドネシアの宗教指導者は「国家によるテロだ」と非難声明を出した。
タクシン首相は二十七日、上院で説明を求められ、拘束者の扱いに誤りがあったことを認め、「亡くなったことを非常に残念に思う」と述べ、真相究明のため調査委員会を設けると約束した。
首相は「通信王」の異名を取った実業界での成功を背に政界入りし、CEO(最高経営責任者)的な指導力が売り物だ。南部情勢については、貧困を解消することで必ず近い将来、問題を解決できると強調してきた。
ASEAN域内で指導力を発揮してきたシンガポールのリー・クアン・ユー元首相やマレーシアのマハティール前首相らが引退していく中で、経済成長を続けるタイのタクシン首相には新指導者の一角を占めるのではないかとの期待もある。
 地域や国際社会の信頼を得られるかどうかは一つには軍による人権侵害に歯止めをかけられるか否かにかかっている。
(産経新聞) – 10月29日3時4分更新

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